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「歯石ができやすい人は、虫歯になりにくいは本当?!」

こんにちは!稲沢のぐち歯科 院長・歯科医師の野口敏英です。

 

今回は「歯石ができやすい人は、虫歯になりにくいは本当?!」というテーマについてお話しさせていただきます。

 

結論からいうと、


「虫歯になりにくいです!!!」

 

歯石ができやすい人は、虫歯になりにくいと聞くことがありますが、本当なのかイギリスでこの疑問に対する臨床試験が行われました。

臨床試験に参加したのは2300人です。すごい人数ですね!

参加者の方にフッ素の濃度の違う3種類の歯磨き粉を3年間使用してもらいました。

低濃度、中程度、高濃度の3種類のフッ素入り歯磨き粉を使用します。

3年間使用してもらってから口腔診査を行い、歯石がある人とない人に分けて虫歯の増加した数を評価しました。

 

その結果は、、、!!!

歯石がある人の方が虫歯は少ない結果になりました

 

歯磨き粉を使っているからでしょ?と思ってしまいますが、どの濃度のフッ素においても歯石がある人の方が虫歯になりにくい結果だったのです。

逆にどのフッ素濃度の歯磨き粉を使っていても歯石ができにくい人は虫歯が増えていた結果でした。

 

この結果の要因としては、唾液のp Hやミネラルイン濃度が関係していることがわかりました。

理科の用語で聞いただけで拒否反応が出そうですがこのまま読んでください。

 

そもそも虫歯にどうやってなるのかですが、お口の中は基本的には中性に保たれています。

飲食をすることにより、酸性になります。酸はものを溶かすイメージがありますよね!

飲食で酸性になるかと言うと、虫歯菌が食品を分解し酸を作り出します。

そして、環境が酸性になると歯は溶け出し虫歯になります。

これを「脱灰(だっかい)」と言います。

 

ちなみ余談ですが、歯茎が下がっている方は歯の根っこが見えています。この根っこの部分は歯の頭(白い部分)と比べると弱い酸性で溶けます。溶けやすい部分といえるので、より注意が必要です。

 

食事をするたびに虫歯になってしまうじゃないか!?となりますが、人間の体はよくできています。

虫歯から歯を守るのは「唾液」です!

唾液の成分によって酸性になっているお口の中を中性に戻す機能が備わっています。

中性にすることにより歯が溶け出すのを防ぎます。

中性に戻るにはだいたい1時間ぐらいかかります。

この中性に戻す能力を「緩衝能(かんしょうのう)」といいます。

 

じゃぁその1時間の間に歯が溶けているじゃないか!とさらに言いたくなります。

さらにそこで出番なのが「唾液」です!

溶けてしまった歯の表面を修復してくれるのです!

唾液には歯の成分である「カルシウム」や「リン」が含まれています。

溶けた歯の表面に唾液が触れると、このカルシウムやリンを溶けた表面に供給することによりまた元の歯の表面に戻してくれます。

これを「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。

 

一日一生のお口の中で「脱灰」と「再石灰化」の細菌対唾液の壮絶なる攻防が常に行われています。

 

では、ここまでで虫歯は分かったけど、歯石は関係ないのでは?となりませんか。

実はこの歯石にも唾液が関係してきます。

 

歯石の主成分はなんと「リン酸カルシウム」です!

唾液の主成分は「カルシウム」と「リン」です。この化合物が「リン酸カルシウム」になります。

つまり、歯石は唾液からできているといえます。

歯石ができる仕組みは歯を修復する「再石灰化」と似たような仕組みで歯石ができます。

歯石ができる時はお口の中が中性の時に作られます。

 

どちらも唾液が歯を固める、石のように固めると思っていただければいいと思います。

 

つまり、まとめると唾液の機能が強い方というのは、歯が溶けやすい酸性から正常の中性に戻す力が強い、早く戻すことができる。(緩衝能が強い)

中性に戻したところで、溶かされてしまった歯の表面をミネラルイオンで修復する(再石灰化が起きる)

ここまでは歯にとっていいこと!

余っているミネラルイオンが歯の表面で固まり歯石をつくります。

歯石ができやすい人は虫歯になりにくいという結果になります!

 

 

ここまではいい話でしたが、歯石の悪いところもあります。

歯石はやはり悪いやつです。

 

歯石はリンやカルシウムなどのミネラルでできているのはご理解いただいているかと思いますが、実はそれだけではありません。

歯石が歯の表面にできるのに土台が必要となります。その土台となるのがプラークです。

いわゆる磨き残しのことです。

このプラークがミネラル成分を含み固まって出来上がるのが「歯石」です。

 

歯石が歯の表面に付着することにより、歯肉に炎症を起こします。

この炎症が進行すると「歯周病」になってしまいます。

それがなぜかというと、歯石には細菌が住み着いています。

歯石の表面は岩のようにゴツゴツとしているため、磨き残しがさらに付着しやすくなります。

プラークには細菌が含まれているため、歯石の表面は細菌が覆っている状態です。

さらにタチが悪いことに細菌がすみ家となるような穴まで空いていることです。

最近にとっては小さな歯石でも莫大なタワーマンションと言っていいでしょう。

 

歯石の悪い性格に関してはまた今後お話しします。

 

歯石は放置せず定期的に取り除きましょう。

稲沢のぐち歯科

院長 野口敏英

稲沢市日下部西町2−89−1

TEL:0587-22-7260