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知られざる顎関節症の世界

こんにちは。稲沢のぐち歯科 院長の野口敏英です。

今回は「知られざる顎関節症の世界」というテーマでお話しさせていただきます。

日頃こんな症状が出たことはありませんか?

・あごが痛くなる

・口の開け閉めであごが痛い

・口が開きにくい

・口を開ける時に音がする


これらは全て顎関節症の症状です。

人によってはいくつか当てはまる方もいらっしゃるかもしれません。


まずは顎関節の仕組みについて説明します!

顎関節は両耳の少し前にあります。

耳の前を指で触れていただき口を開け閉めした時に硬いものが動いている場所が顎関節です。

顎関節は下あごの骨の「下顎頭(かがくとう)」が頭蓋骨の「下顎窩(かがくか)」というくぼみにはまっています。

その間には「関節円板」という軟骨のクッションがあります。

その周りに顎関節を動かす「筋肉」と「靭帯」、周りの組織を包み込む「関節包」がついています。

基本的には体のどの関節も同じ構造をしていますが、顎関節が特別違うのが左右一対となっていることです。




ではこの顎関節はどのように動くのでしょうか

口を開けると下あごの骨が前方に回転しながら動きます。その時に間接円板がスムーズに動くように一緒に動きます。

口を閉じると元の位置に戻ります。


顎関節症は顎関節の仕組みのどの場所に異常がでてるかで分類されます。

顎関節症の分類を説明します。5つの分類に分かれます。簡単に言うと

Ⅰ型:筋肉の異常     →   「筋肉痛」タイプ

Ⅱ型:関節靱帯の異常   →   「ねんざ」タイプ

Ⅲ型:関節円板の異常   →   「クッションの異常」タイプ

Ⅳ型:骨の異常      →   「骨の変形」タイプ

Ⅴ型:どれにも当てはまらない

以上の臨床的に5つに分かれます。


では、それぞれについて説明していきましょう。

「筋肉痛」タイプ

顎関節を動かす筋肉が使いすぎなどによって異常をきたします。いわゆるき「筋肉痛」の状態です。

顎関節を動かす筋肉が炎症により痛みや口の開きにくさを起こしているパターンです。

症状として顎関節の周りに痛みがある、口の開け閉めの時に痛みが出たりします。

このタイプの痛みの特徴としては、顎関節の周囲だけではなく少し離れたところが痛むという特徴があります。

口の開け閉めは、多くの筋肉を使って行われます。頭の側頭部にある「側頭筋」も口の開け閉めに関わる筋肉です。この筋肉に異常が出ればこめかみあたりが痛くなります。

治療法

・マッサージ

筋肉痛なので筋肉をほぐすのが治療のメインとなります。筋肉のマッサージや口の開け閉めのストレッチを行っていただきます。

・筋肉の安静

筋肉痛なので休ませることが必要です。負担をかけている原因を見つけて改善しましょう。多くは生活の中の習慣や無意識の癖が原因となっていることがあります。

・薬の服用

痛みが強い場合は鎮痛剤を服用します

・マイスピース

くいしばりや歯ぎしりが原因となる場合はマウスピースを装着し、力の分散を図ります

・ボツリヌストキシン療法

筋肉をほぐし、小さくすることにより噛む力の軽減をします。


「ねんざ」タイプ

顎関節を構成する軟骨や靭帯、関節を包み込む関節包などの組織に負担がかかり痛めてしまっている状態です。

特に関節包にある滑膜という部分に炎症を起こしています。この滑膜の動きが悪くなり顎関節の可動領域が狭くなってきます。症状が進行すると、動きが悪くなり口が開けにくくなります。

炎症が起きているため、まず安静にすることが大切です。痛みを感じる動作を極力避けるようにしましょう。

痛みが強い場合には鎮痛剤を服用していただきます。症状が徐々におさまってきたらストレッチを行い、ほぐして可動領域を広げます。


「クッションの異常」タイプ

顎関節の骨の間には「関節円板」があります。これは下あごの骨の上に乗っかるように位置していいます。口を開け閉めする時に骨の間で一緒に動くことによりなめらかに口の開け閉めをします。この時に骨同士が直接ぶつかるのを防ぐクッションのような働きをします。

このクッションがずれることがあります。それがこのタイプの顎関節症です。

クッションの異常タイプには2パターンあります。

  • 開閉口時に音が鳴るパターン
  • 開閉口時に引っかかるパターン

音が鳴るパターンの場合、口の開け閉め時にクッションのズレが元に戻ろうとしたり、さらに変形したりするときに音が鳴ります。

引っかかるパターンの場合、クッションがずれが元に戻ることができず、詰まってしまって引っかかり、口がそれ以上に動けなくなります。

このタイプの場合、左右どちらに異常が出ているのか鏡を見て確認することができます。

鏡を見ながら口を開け閉めしていただくと、顎関節症になっている方が動きが悪いため、下あごが真っ直ぐに下にいかず、悪い方向に傾きます。


「骨の変形」タイプ

顎関節症が進行したり、加齢などにより骨の先端の軟骨が薄くなると、骨同士が直接当たるようになります。そのままの状態が続くとやがて骨が変形してしまいます。

「クッションの異常」タイプを長い間、放置し悪化し骨の変形タイプに移行してしまいます。

口が開けにくかったり、開けるときに痛みがあったり、音がしたりする症状があります。

治療は痛みを和らげることを目標とします。歯科医院では対応が難しくなることが多く、大学病院や口腔外科などへ紹介をさせていただくことが多いです。


まとめ

顎関節症は日常の習慣や癖が蓄積されて発症することが多い生活習慣病ともいえる病気です。蓄積される負担が大きく、長いほど重篤化していく病気です。

まずは原因となる習慣や癖を探してみましょう。

症状があれば放置しておかず歯科医院へ受診し相談しましょう。


稲沢のぐち歯科

院長 野口敏英

稲沢市日下部西町2−89−1

TEL:0587-22-7260