こんにちは。稲沢のぐち歯科 院長の野口敏英です。
今回は「舌と唇で歯並びが悪くなる?!」というテーマについてお話しさせていただきます。
歯並びは遺伝で決まるから悪くなるのはしょうがない。。。と諦めていませんか?
実は歯並びが遺伝で必ず決まるわけではありません。
遺伝の影響を受けやすいのは「受け口」です。
ご両親や、おじいちゃんおばあちゃんに受け口の方がおられたら影響があるかもしれません。
こちらはまた別の機会にお話しします。
歯並びはどうやって作られる?
それは!日常生活の行動によって歯並びは作られます。
言い換えれば、「日常生活の行動に合った歯並びになる」と言った方が正確でしょう。
さらに歯の位置を見ると、歯は唇(頬)と舌の間にあります。
唇(頬)と舌の力のバランスが取れたところに歯は移動し、並んでいます。
唇(頬)は外側から歯を押して支えています。
舌は内側から押しています。
歯並びには舌や唇が及ぼす影響力が強いです。
唇と舌の力のバランスが変わると歯は移動します。
「ポカン口」
普段から唇が閉じておらず、ポカンと口が開いた状態が癖になっていると、出っ歯になりやすいです。
ポカン口により出っ歯になるメカニズムとしては、
唇が閉じていないと、外側から抑える力がなくなってしまいます。
舌は歯を内側から前に押します。
舌の内側から押す力が強くなり、歯は外側に傾いてしまいますので、出っ歯になります。
これがバランスが崩れ歯が移動するメカニズムです。
さらに舌を前歯に当てる癖があると前歯がさらに外側に傾いてしまったり、しっかり生えてこず、前歯が噛み合わない「開咬」になることもあります。
では逆はどうでしょうか。
唇や頬の筋肉が硬く、弾力がない場合です。
この時は外側から抑える力が強くなります。
歯を内側へと押し込んでします。
上の前歯が内側に押し込まれたことにより、下の前歯を覆い隠すようになります。
これを過蓋咬合といいます。
さらにこの状態が悪影響を及ぼすのは歯だけではありません。
顎の骨は外側に広がるように成長します。
唇や頬が強いとこの骨の成長すら抑え込んでしまう可能性があります。
そうすると顎の骨が広がらず小さくなってしまします。
顎や小さいと歯が生えるスペースが少なくなり、歯並びがガタガタになる可能性があります。
このように歯並びは、遺伝で絶対決まっているわけではなく、日常生活の生活習慣などの影響を受けて出来上がります。
こうした舌の癖は、矯正治療の妨げにもなります。
例えば出っ歯を治すために装置をつけて内側に動かそうとしても、舌の癖によって歯が動かなったり、治療が完了して装置を外したら舌に押されて後戻りをしてしまったりすることもあります。
Q .唇や舌はどうしたらいいのか?
舌には収まるべき正しいスポット(ポジション)があります。
それは、リラックスしている時に、舌が上あごの天井につきつつ、舌の先端は前歯に触れていない位置が理想です。
唇は閉じている状態にします。
この時に、上下の歯が接触せず、少し離れていると完璧です。
舌を持ち上げる筋肉が弱かったり、舌を歯に充てる癖がついてしまっていると正しいスポットにつけるのが難しいです。
トレーニングをしましょう
・唇を閉じるように意識しよう
普段生活の中で唇を閉じるようにしましょう。
1時間ごとに唇を閉じているか確認して見ましょう。
もし開いていれば次は30分ごとに確認しましょう。それでも開いていれば10分ごとに確認してみましょう。
確認したら、軽く深呼吸をして、口から息をゆっくりはきます。この時に上下の歯がくっつていないと思いますので、そのまま唇をそっと閉じましょう。
力がかかっていない正常な状態です。
この状態を日々維持できるように確認しましょう。
・舌を正しいスポット(ポジション)につけたままにしましょう
まず舌の先端を上の前歯の裏側につけましょう。
次に上あごに押し付けなぞりながら1cmほど引っ込めます。この場所が正しいスポットです。
常にこのスポットにとどまるようにトレーニングしましょう
・舌の筋力を鍛えましょう
舌の筋力を鍛えるトレーニングは様々あります。
今回は基本的なトレーニングをご紹介します。
舌の先端を正しいスポットにつけます。
口を閉じ、舌全体を上あごに吸い付けます。口を開けてポンと音を出します。
これを10回繰り返しましょう。
割り箸を用意します。
口の前で割り箸を縦に持ちます
舌をまっすぐ前に出して先端を割り箸につけます。
舌と割り箸で押し合います。
押したまま10秒ほどキープしましょう。
まとめ
舌や唇の力のバランスが歯並びに影響することを知っていただけましたでしょうか。
お口のトレーニングは毎日根気よく続けていただくことが大切です。
やる気が薄れてきてしまった時はこのブログを思い出し、トレーニングの大切さを再確認していただけると嬉しいです。
舌や唇のバランスが向上すると歯並びが自然と良くなることもあります。悪化を防ぐことはできるでしょう。
もし矯正治療をする上でも、バランスが良いと治療期間が短くなったりと治療がスムーズに進む傾向にあります。
ぜひ一度ご自身の状態を確認してみましょう。